※この記事は2017年11月30日に執筆したものです。
会社経営に関する法的な疑問や質問について、当事務所の代表弁護士 高島秀行がわかりやすくお答えします。
今回は「売掛金の回収方法(債権保全策):仮処分」について解説します。
【質問内容】
私はIT企業を経営しています。お客様にWebサイトや社内システムを納品する仕事です。
あるクライアント様が納品したにも関わらず代金を支払いません。「払う。払う。」と言いながらなかなか支払ってくれません。
売掛金回収のための、何か良い手段はないでしょうか。そのクライアント様が仕事を請けている取引先はわかります。
【回答】
売掛金をなかなか払ってくれないという相談は、意外と多いです。
通常であれば、交渉して話し合いがつかなければ訴訟を起こして、訴訟中にも和解ができなければ、判決を取って、相手方の財産を差し押さえるということとなります。
今回の質問のように、相手方の取引先がわかっている場合は、そこに対する売掛金を差し押さえることとなります。
ただ、訴訟の開始前には、取引があったけれども、判決を取って、差押えをするときには、その取引先とは取引がなくなってしまうかもしれません。
差押えを恐れて、他の会社の名義で仕事を受注することも考えられます。
そのような財産隠しを防ぐ方法があります。これを「仮差押」と言います。
仮差押は、正式な裁判をしないで、こちらの一方的な言い分を聞いて、仮に差し押さえることを認めてくれる手続です。
仮差押があると、差押があったときのように、相手方の取引先は、相手方に売掛代金を支払うことができません。
したがって、仮差押をしてしまえば、後で正式な裁判で勝ったときに正式な差押えをすることが可能となります。
このように、債権者にとって有利な仮差押ですが、売買契約書や発注書、支払を待って欲しいという支払の猶予を求める文書など、相手が支払うことを認めた文書が証拠として必要となります。
また、相手方の反論を聞かずに、仮差押を認めることとなるので、もし、間違いであると相手方に損害を与えることにもなりかねません。
そこで、仮差押をするには、請求金額の2割から3割の担保を積まなければなりません。
500万円の売掛金であれば、100万円から150万円の担保を法務局に積む必要があります。
これは、正式裁判で勝てば戻ってくるお金です。
しかし、裁判で勝つまでの間、その資金は寝かせておくこととなりますから、資金繰りに余裕がないと仮差押はできません。
仮差押は、有効な債権保全の手段ですが、契約書など相手が署名捺印した文書と担保としてお金が必要だということを覚えておいてください。
高島総合法律事務所では、売掛金・債権回収の分野において多数の解決事例をもっています。
売掛金が回収できない状態が続くことはとても悩ましいですよね。
まずは、「相談」という形で第一歩を踏み出し、解決までのお手伝いをさせてください。
経営者である依頼者が、本業にいち早く集中できるよう共に解決に邁進いたします。