企業法務
2026/07/31 2026/09/16

中小企業で株主代表訴訟を起こされることはあるのか?

※この記事は2018年7月19日に執筆したものです。

 

会社経営に関する法的な疑問や質問について、当事務所の代表弁護士 高島秀行がわかりやすくお答えします。

今回は「株主代表訴訟」について解説します。

 

【質問内容】

当社は上場もしていない中小企業です。
それなのに、株主である弟が社長である私に対して株主代表訴訟を起こしてきました。
こんなことってあるのですか?

 

【回答】

新聞紙上を賑わす株主代表訴訟と言えば、上場企業の株主が不正な経営を行った社長を始めとする取締役に会社の被った損害の賠償を求めるものです。

株主代表訴訟で有名な事件の1つが「大和銀行(現りそな銀行)事件」です。

このケースは、大和銀行ニューヨーク支店において従業員が証券取引で約11億ドルもの損を出したのに、それを隠蔽したために大和銀行が3億4000万ドルもの罰金を支払うこととなったのは役員が監督義務を怠ったためだという理由で、株主が会社を代表し役員たちに対し損害賠償請求をしたところ、7億7500万ドル(約830億円)もの賠償請求が認められたというものです。

 

さて、この株主代表訴訟は中小企業では無関係かというと、そうでもないのです。

中小企業であっても、株式会社であれば株主は株主代表訴訟を起こすことができます。

実際に、裁判所にかかっている株主代表訴訟のうち、上場企業に関するものは全体の3分の1しかなく、残りの3分の2が上場していない中小企業で起きているそうです。

 

その多くの原因は、同族による経営権争いです。

どういうことかと言うと、中小企業の場合、特に創業者から次世代に会社の株式について相続がなされると、同族で株式を持ち合うこととなります。

こういうケースでは、社長をしている方は会社を支配しており満足しているでしょうが、同族で会社の経営に関与できていない方は面白くありません。

このような状況で、社長が同族会社であることをよいことに、会社の財産と個人の財産を混同したり、会社の財産で投機を行って損を出したりすれば、経営に関与していない同族株主はこの時がチャンスとばかり株主代表訴訟を起こしてきます。

これが、上場していない中小企業で多くの株主代表訴訟が起こされている原因なのです。

 

代表取締役や役員には経営に関して広い裁量が与えられているので、普通に経営をしていれば、会社に損害を与えたとしてもそれは単なる経営の失敗として賠償責任は認められません。

しかし、会社の財産と個人の財産の公私混同や、裏づけのない投資で会社が損をしたような場合には賠償責任を負うこととなります。

 

 

高島総合法律事務所では、株式に関する多数の相談事例があります。

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