※この記事は2019年3月25日に執筆したものです。
会社経営に関する法的な疑問や質問について、当事務所の代表弁護士 高島秀行がわかりやすくお答えします。
今回は「共同経営」について解説します。
【質問内容】
友人3人で、持ち株3分の1ずつで会社を設立して事業を営んできましたが、先日他の2人に任期満了をもって取締役を辞めて欲しいと言われました。
役員としての退職金と株式の買取を請求したいのですが、このような請求は通るでしょうか?
【回答】
共同で会社を設立して事業を始めるときには、事業自体が軌道に乗るかどうかもわかりませんから、将来、会社の経営権を巡って争いが起きるなんて事まで思いを馳せることは少ないと思います。
経験上、株式の持分は平等にしている会社が多く、これが2人の場合にはどちらも2分の1ずつとなりますから、お互い相手を強制的に辞めさせることはできません。
しかし、質問のように3人の場合、他の2人が手を組むことによって株主総会の議決権の過半数を押さえることとなります。
そこで、取締役の任期が来たときに、1人だけ株主総会で取締役に再任しなければ、実際上は会社の経営から退かなければいけないことになります。
今回の相談者の方は、このようなことをされた場合に対抗手段があるかというご質問ですが、初めに何も決めていないと、対抗手段はありません。
まず、取締役の退職金(「退職慰労金」とも言います)は株主総会で決めなければなりません。したがって、相手2人が株主総会で退職金について議決しなければ、退職金を請求することはできないのです。
また、株式についても、会社や相手が「うん」と言わなければ会社や相手方に強制的に株式の買取を請求をすることはできないのです。法律上、持ち株は第三者に売却することはできます。ただし、証券取引所に上場もしていない中小企業の過半数に満たない株式を買おうとする人はいません。
このように、株式を過半数持たない場合は無償で会社経営から排除されてしまう恐れがあります。
これに備えて、最初に、
①取締役の任期を長めに定めて、取締役を辞めた場合には退職金を支払うこととする、
②取締役を辞めるときには、共同経営者が株を一定の金額で買い取ることとする、
などと定めておくのがいいです。
なお、本件は任期満了のケースですが、任期途中で株主総会で解任された場合は解任自体は争えませんが、解任に正当な理由がなければ任期の残期間分の取締役の報酬を請求することが可能となります。
共同事業を始めるときには、まさか仲間割れが起きるとは考えないのが普通ですが、実際は会社が軌道に乗り始めると、メンバーの意見が違ってきて別れることになるケースは意外に多いです。
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