※この記事は2018年3月1日に執筆したものです。
会社経営に関する法的な疑問や質問について、当事務所の代表弁護士 高島秀行がわかりやすくお答えします。
今回は「公正証書と合意書の違い」について解説します。
【質問内容】
なかなか売掛金を払ってくれない取引先と分割払いの約束をすることができました。
これを文書にしようと思うのですが、合意書と公正証書のどちらを作成したらよいのでしょうか?
【回答】
まず、合意ができたら、合意書を交わし相手方の署名捺印をもらうのが基本です。
日本では、口頭での合意はいわゆる口約束で、守らなくても仕方がないと思われている節があります。
また、実際訴訟になっても、口約束だと「言った」「言わない」という問題になり、立証できないということにもなってしまいます。
そこで、合意ができたら、きちんと書面にしようという考え方は正解です。
それでは、文書を作成するには、一般の合意書でよいのでしょうか。それとも公正証書がよいのでしょうか。
公正証書を作成するには印鑑証明書や実印が必要で、しかも、公証人という公務員が内容及び作成当事者を確認するのですから、合意の証拠として公正証書の方が上かもしれません。
しかし、一般の合意書でも、印鑑証明書を添付してもらい、実印を押してもらえば、合意の証拠という意味では公正証書と同じくらいの価値を持ちます。
ただし、一般の合意書が公正証書に全く及ばない点が1つあります。
それは、金銭の支払いについて、公正証書を作成し場合、その中に「払わない場合は強制執行することを認める」という条項(強制執行認諾条項)を入れておくと、公正証書で差押えなどの強制執行ができるということです。
一般の合意書に、払わないときには強制執行をすることを認めるという強制執行認諾条項を入れても、裁判をして判決を取ってからでないと強制執行をすることができません。
しかし、強制執行認諾条項付の公正証書にしておけば、相手が約束どおり払わない場合に、裁判をしなくてもいきなり財産を差し押さえることができるのです。
即ち、分割払いなどの支払い約束を公正証書とすれば、裁判費用、裁判の労力、裁判にかかる時間が節約できるのです。
ただ、公正証書を作成するには若干の作成費用がかかりますし、相手方と一緒に公証役場に出頭しなければなりません。実印と印鑑証明書(会社なら登記簿謄本も)なども
用意する必要があります。
だから、相手の気が変わりそうなときには、取り合えず一般の合意書を作成して、その後公正証書を作成するのがよいでしょう。
最初の合意書の中に、「1回でも支払いを怠ったら残額全部を支払うという条項」と「合意書と同じ内容の公正証書を作成するという条項」を入れておくことが大切です。
高島総合法律事務所では、多数の公正証書作成事例があります。
まずは、「相談」という形で、第一歩を踏み出し、公正証書作成のお手伝いをさせてください。
経営者である依頼者の力になれるよう邁進いたします。