自分でできる借金整理法 ―特定調停―

このブログを読んでくださる依頼者の中には、経営者の方もいるのではないでしょうか。経営者の皆様にお役にたてるコンテンツになっておりますので、ぜひご一読頂けますと幸いです。

 

今回の記事は、「特定調停」について紹介します。

 

ー 今回のご相談内容 ー

特定調停を利用すれば、自分で借金の整理ができると聞きました。どのような制度なのでしょうか?

 

「教えて!高島先生!」

当事務所代表弁護士高島秀行がお答えします。


借金を整理する方法には、

①裁判所を利用しない任意整理と

②裁判所を利用する自己破産や民事再生手続、があります。

 

任意整理は、裁判所を利用せずに、債権者と交渉して今後の支払内容を決めて行きます。

 

自己破産は、裁判所を利用して、借金などを0にする方法です。

 

民事再生手続は、会社や個人を再建するために、借金の額をカットしてもらい一部の金額を支払っていく手続きです。

 

会社でも個人でも、借入や買掛金を整理したい場合には、どの手続きを利用することも可能です。

 

しかし、裁判所を利用する自己破産や民事再生手続は、法的な知識が必要となりますから、弁護士に依頼しないと手続きを取ることはできません。

 

また、裁判所を利用しない任意整理について言うと、金融機関は、債務者が会社でも個人でも、債務者本人の交渉による任意整理には、応じないのが一般的です。

 

したがって、任意整理も、弁護士に依頼するほかありません。

 

すると、借金の整理をするには、基本的には、弁護士に依頼するほかないということになります。

 

しかし、会社や個人といった債務者本人にもできる借金の整理のための手続があります。それが特定調停手続というものです。

 

任意整理で、弁護士は、金融機関に対し過去の取引経過の開示を請求し、それに基づきサラ金等の利息を利息制限法の利息により引き直し計算し、支払債務額を確定します。

 

そして、その支払債務額を、債務者の月々の支払可能額に基づき、債務者が個人の場合には、原則として3年分割で支払うという和解を金融機関とします。

 

最終的に確定した支払債務額に利息は付けませんから、支払額が増加するということはありません。

 

会社の場合は、若干異なります。

 

特定調停では、この任意整理で弁護士がすることを、債務者本人がやることにはなるのですが、裁判所が債務者に協力してくれます。

 

だから、弁護士に依頼しなくても、債務者本人で借金の整理することができるのです。

 

ただ、債務者本人で特定調停をする場合、一ヶ月にいくら支払えるかという支払原資を、現実の収入と生活費から厳密に算定するのではなく、債権者の希望によって決めてしまう傾向にあるので、せっかく、特定調停で借金の整理ができても、その後、約束の金額が払えなくなってしまうということがよくあります。

 

また、債務者が不動産を持っている場合や会社など事業を行なっている場合には、複雑な事情を整理して、毎月いくら支払えるかなどを自分だけで判断するのは難しいと思います。

 

だから、弁護士を利用せずに、債務者本人が特定調停手続により借金の整理ができるのは、債務者の借金がサラ金等からの借入のみで、収入が給料だけで、他に財産もなく、借金総額が年収よりも少ないというケースくらいだと思います。

 

しかし、特定調停を利用して自分で借金の整理ができる場合もあります。検討してみてはいかがでしょうか。

 


高島法律事務所では、契約書の分野において多数の解決事例をもっています。

まずは、「相談」という形で、第一歩を踏み出し、お手伝いをさせてください。経営者である依頼者の力になれるよう邁進いたします。


 

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