取締役の責任 ―安易な賛成に注意!―

このブログを読んでくださる依頼者の中には、経営者の方もいるのではないでしょうか。経営者の皆様にお役にたてるコンテンツになっておりますので、ぜひご一読頂けますと幸いです。

 

今回の記事は、「取締役の責任」について紹介します。

 

ー 今回のご相談内容 ー

私は、知り合いの会社の取締役をしています。
関連会社から建物を買うことについて賛成したのですが会社の債権者からその建物の購入価格が不当に高かったため、会社が倒産し損害を被ったと訴訟を起こされました。
私も責任はあるのでしょうか。

 

「教えて!高島先生!」

当事務所代表弁護士高島秀行がお答えします。


知り合いに頼まれて他の会社の取締役になっている人も多いことと思います。

 

まず、覚えていていただきたいのは、会社が倒産したからといって、取締役は必ず債権者に対し、責任を負うわけではないということです。

 

株式会社(有限会社)においては、会社と取締役は別人格であり、会社の債権者は取締役個人に対しては請求はできません。

 

したがって、会社の取締役は、会社の債務について、保証人にならない限り、債権者から請求はされません。

この点、誤解している人が多いので、注意してください。

 

では、取締役は、いつも会社の債権者に対し責任を負わないかと言うとそうではありません。

 

取締役は、法律上重い責任が課されていて、取締役として、会社の取引が適正かどうかよく注意する義務を負っています。

 

この注意義務は、一時的には株主(会社のオーナー)に対して負っているものですが、会社の債権者に対しても責任を負うのです。

 

そこで、明らかに会社の取引が、経済的合理性を欠いているにもかかわらず、安易に賛成し、代表取締役に対し止めるよう求めなかったような場合には、それによって会社に損害が生じ、ひいては債権者が損害を受けた場合は、取締役は債権者に対し損害賠償をしなければなりません。(会社法429条)

 

知り合いに頼まれて取締役となっている場合、知り合いがする会社の取引や借り入れ、保証などについて、なかなか意見を述べたり反対したりすることはできないと思います。

 

ましてや、関連会社同士で、不良資産を動かすことなど日常茶飯事に行われているのですから、問題なしとして成立してしまうことでしょう。

 

しかし、関連会社であっても法律上は別会社で、それぞれの債権者は、それぞれの会社の財産でしか弁済を受けられないのです。

 

そして取締役は経営者のためでなく、当該会社のために取引などが適正か監視する義務があります。

 

したがって、取締役となり、安易に取締役会で賛成してしまうことは、後から思わぬ責任を追及されるおそれがありますから注意が必要となります。


高島法律事務所では、契約書の分野において多数の解決事例をもっています。

まずは、「相談」という形で、第一歩を踏み出し、お手伝いをさせてください。経営者である依頼者の力になれるよう邁進いたします。


 

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