事業承継を考える

今回お届けするのは、「事業承継」に関する相談です。

 

このブログを読んでくださる依頼者の中には、引退が近づき、ご子息への事業承継をお考えになっている経営者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんな皆様にお役にたてるコンテンツになっておりますので、ぜひご一読頂けますと幸いです。

 

今回の記事は、事業承継を場合、気をつけなければならないことについて紹介します。

ー 今回のご相談内容 ー

私は、65歳で、引退を考えています。
事業を息子に承継してもらおうと考えていますが、
気をつけなければならないことは何でしょうか?

 

「教えて!高島先生!」

当事務所代表弁護士高島秀行がお答えします。


 

事業承継で、気をつけなければならないことは、大きく分けて次の4つです。

 

一つは、まず事業を誰に承継させるかです。

自分の子供の中に、事業を継ぐ意思がある者はいるのか、経営者として適性があるか、自分の子供が継がない場合は、従業員に継がせるのか、それとも、第三者に売却してしまうのかなどを検討する必要があります。

 

次に、自分の子供に事業を承継させることが決まった場合、業界の情勢、営業のノウハウ、社内における従業員との関係や取引先や金融機関との関係などを、ある程度時間をかけて、承継できる体制にしていく必要があります。

 

これについては、経営を承継することが決まれば、ほとんどの経営者が考えることだと思います。

 

それと平行して、自分の財産のうち、会社の株式や会社の借り入れの担保となっている財産を誰に相続させるかを検討しなければなりません。

 

会社の株式の3分の2、少なくとも過半数を事業承継者が相続できるようにしておかないと、創業者が亡くなった後に経営権争いが表面化して、会社の経営が安定しないからです。

 

民法では、相続人の1人に遺産を集中して相続させると、他の相続人に、遺留分という遺産の一定割合を取り戻す権利が発生することとなっていますので、これの対策をしておく必要があります。

 

税理士は、贈与税の控除の範囲内で株式の生前贈与を行って、事業承継者に株式を集中させる方法を取ることをアドバイスしますが、贈与した株式は遺留分の対象となるので、これは遺留分対策にはなっていませんので気をつけてください。

 

それから、相続税の対策です。

会社が自社ビルや工場用地などの不動産をたくさん持っていると、会社の株式が相当高額の評価となり、相続税も高額となってしまうおそれがあります。

 

したがって、相続税対策は必須です。

しかし、相続税対策のみに気を取られると、前述のとおり、肝心の経営権が事業承継者に円滑に承継されないということにもなりかねませんから、税理士と弁護士の両方に事業承継について、相談して対策を検討する必要があります。 

 

 

関連記事

  1. 闇金からの借入に返還義務はない
  2. M&Aの一形式「会社分割」のメリット
  3. 売掛金の回収方法:調停による売掛金回収
  4. 薬のネット販売解禁?
  5. 個人情報保護法とは一体なに?弁護士がくわしく解説
  6. 取締役を解任するには
  7. 従業員のアルバイトを理由に解雇できるか
  8. 契約書に印鑑を押す前に気をつけてほしいこと
PAGE TOP